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独立企業間原則は移転価格税制における憲法 | 押方移転価格会計事務所
- 2017.02.27
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移転価格税制における憲法というべき大原則は、独立企業間原則と呼ばれるものです。これは子会社だからといって身内びいきをすることなく、資本関係のない第三者と同じような条件で取引をしなさいというルールです。
その考え方自体は理解できますが、では実務上、どうすれば独立企業間原則に準拠しているといえるのかというと急に難しく感じます。この点について日本の移転価格税制では、いくつかの独立企業間価格算定方法の中から最も適切な方法を選ぶという方式が取られています。
独立企業間価格算定方法は日本が独自に考えたものではなく、国際機関であるOECDが定めたものを各国が自国のルールに取り入れたものです。その結果、独立企業間価格算定方法は各国ほぼ同じになっていますので、日本本社が移転価格税制についてのノウハウを得れば、海外子会社サイドの移転価格対応の際にも大いに役立ちます。
第三者間取引と比べることにより、独立企業間価格を算定する
価格というものは、元々あいまいなものです。製品に組み込むLEDライトが1個あたりいくらなのか、塗装用のペンキが1キロあたりいくらなのか、といった絶対的な価格は誰にもわかりません。税務当局であってもそれはわかりません。
そのため移転価格税制では、親子間取引と類似する第三者間取引を探してくることにより、独立企業間価格を算定するというアプローチを取ります。取引価格自体を直接比較できれば最も説得力がありますが、それが難しい場合は売上総利益率や営業利益率ベースでの比較も認められています。
この営業利益率ベースで比較する方法を取引単位営業利益法(TNMM)といい、現在主流の計算方法となっています。感覚的には9割以上の企業がこの方法を採用しているのではないかと思います。
ローカルファイルを準備していないと推定課税のリスクがある
独立企業間価格算定方法は自社にとってベストな方法であれば、取引単位営業利益法(TNMM)である必要はないのですが、その検討過程を文書にしておくことが必要です。この文書のことをローカルファイルといいます。税務調査時にローカルファイルの提示を求められた場合は、一定期間以内に提出しなければなりません。
一定期間以内に提出できなかった場合、税務当局は同業他社に質問したり、類似企業の利益率を調べるといった方法により、独立企業間価格を独自に推定して課税することができます。これを推定課税といい、多額の追徴となる可能性が高いです。推定課税は、独立企業間原則を順守せずに海外子会社と取引を行ったことに対する一種のペナルティーといえるでしょう。
ローカルファイルの提示を求める⇒一定期間以内に提出できなかった場合は推定課税を免れることができない、という手続きの流れは各国共通です。移転価格税制への対応が厳しい国とそうでない国がありますが、全般的には移転価格税制に対するルールの明確化、課税の強化、調査対象企業の小型化という流れが続いています。
中堅規模の企業(連結100億円~)も移転価格税制への対応が必要な時代が始まっています。
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