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グループ内役務提供(IGS)では総原価を請求することが多い | 押方移転価格会計事務所
- 2020.01.30
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移転価格税制は棚卸資産取引だけでなく、グループ内での役務提供取引についても独立企業間価格で取引することを求めています。
棚卸資産取引と同様に独立価格比准法や原価基準法などの独立企業間価格算定方法の中から最も適切な方法を選択し、その方法に従って対価のやり取りを行う必要があるということです。
そしてこのグループ内役務提供の代表例といえるものが海外子会社への出張支援です。
海外子会社に出張して技術指導などを行った場合は適切な対価を受け取らなければなりませんが、移転価格事務運営要領3-11の規定により、その出張支援が「本来の業務に付随するもの」である場合は、総原価の額をもって(=利益を上乗せせずに)独立企業間価格とする方法を(調査官が)検討するとされています。
これは独立企業間価格算定方法の中の原価基準法をベースにした考え方です。
原価基準法とはグループ企業間の取引価格を、かかったコスト(総原価)に適切な利益を上乗せするアプローチによって決める方法です。
通常はコストに一定の利益を上乗せするものですが、本業付随業務の場合は一般的に金額的重要性が高くないので、かかったコストだけを回収すれば直ちに否認されるリスクは小さくなります。
「本来の業務に付随する業務」とは、上記運営要領には「海外子会社から製品を輸入している法人が当該海外子会社の製造設備に対して行う技術指導等、役務提供を主たる事業としていない法人又は国外関連者が、本来の業務に付随して又はこれに関連して行う役務提供」と記載されています。
製造業の場合、「モノを作ること」が本業ですので、モノ作りを間接的に支援する技術指導は「本来の業務に付随する業務」になります。
グループ内役務提供は出張支援だけではない
グループ内役務提供とは、その名の通り、グループ企業間でのサービスの提供ですので出張支援だけに限られるものではありません。
例えば、ある人が日本本社にいながら電話やテレビ会議を通じて1日中子会社支援を行ったのであれば、その人の1日分の人件費は子会社が負担することが理論的には正しいです。
ですが、そのような事情は外部からはなかなか捕捉できませんので、捕捉しやすい出張支援についての対価の回収もれが指摘されやすいということです。
移転価格事務運営要領3-9(2)に記載されている下記内容も考え方は同様です。
「法人が、国外関連者の要請に応じて随時役務の提供を行い得るよう人員や設備等を利用可能な状態に定常的に維持している場合には、かかる状態を維持していること自体が役務の提供に該当することに留意する。」
海外子会社を支援するための組織や人員を用意していること自体がグループ内役務提供に該当するので、適切な対価を海外子会社から受け取るべきということです。
子会社支援を経常的に行うための部門または人員がある場合は、上記規定を根拠とした指摘を受ける可能性がありますので、そのような目線で自社の組織図を確認してみてはいかがでしょうか。
関連記事:税務調査で組織図を確認する目的は海外寄付金探しかもしれない
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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