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海外赴任者に対する源泉徴収もれに注意しよう | 押方移転価格会計事務所

海外赴任者 源泉徴収

海外支店や海外子会社に出向すると、その人は出国日の翌日から日本の非居住者となります。非居住者は国内源泉所得のみが日本の所得税の課税対象となり、支払者である会社は源泉徴収をする義務があります。

法人税の調査と一緒に源泉所得税も調査されることが多いですが、非居住者の国内源泉所得に対する源泉徴収もれが指摘されることがありますので、注意が必要です。

指摘されるのはどのようなパターンかといいますと、

1.非居住者になった後、最初に支払う賞与からの源泉徴収モレ
2.非居住役員に対する国内払報酬に対する源泉徴収モレ

が多いです。

1の賞与ですが、国内勤務期間に対応する部分については日本の国内源泉所得になりますので、日割計算をして20.42%の源泉徴収が必要になります。

例えば、10月~3月末までの賞与が7月に支給される会社において、ある人が4月1日から海外子会社に赴任したとします。この場合、7月に支給される賞与は全期間が国内勤務分ですので、賞与の全額に対して源泉徴収が必要です。

ちなみに、源泉税調査において出国日がわかるエビデンスを求められる可能性がありますので、海外赴任の辞令や航空券のコピーなどを残しておいて出国日を説明できるようにしておくといいでしょう。

2の役員報酬ですが、非居住者の役員に日本本社から役員報酬を支給した場合、その分は原則として国内源泉所得とみなされます。従って源泉徴収が必要になります。役員という職務の性質上、勤務場所と報酬との関連が必ずしも明確でないため、どこで働いていても、日本で支給した分については所得税を納めることとされているためです。

出向者への給与負担金は源泉徴収不要

なお、(役員でない)海外出向者に対して給与負担金(較差補てん金)を支払っていることが多いと思いますが、これは日本の国外源泉所得になりますので源泉徴収は必要ありません。

ですが日本本社の給与と現地法人との給与の較差であるということがしっかり説明できない場合は、海外子会社への寄付とみなされる可能性がありますので、別の意味での注意が必要です。

また出向者にとっては現地法人からの給料と日本本社からの負担金の合計が、現地国で申告すべき所得金額になります。現地法人からの分だけしか申告していないケースがありますが、各国の税務当局間の情報交換が進んできていますので、正直に申告しておく方が無難だと思います。

関連記事:【国際税務の基本】居住者と非居住者の違いを知っておこう

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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