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海外子会社に投資するか融資するか(過少資本税制) | 押方移転価格会計事務所
- 2016.09.12
- 国際税務
海外子会社に資金が必要となった時、追加出資するか貸し付けるかを検討することがあると思います。
出資する場合は、
・子会社の自己資本が増えるので、債務超過を回避したい場合などに有効
・合弁パートナーがいる場合は、出資比率が変わるので調整が必要
・一度払ってしまうと、貸付金のように簡単には資金回収ができない(減資が必要)
といったことが一般的な検討項目でしょうか。
一方、貸し付ける場合は、
・子会社の自己資本が増えない
・資金に余裕ができた時は、返済してもらえる
・無利息で融資をすると寄付金認定を受ける可能性がある
といったことが検討項目だと思います。
利息についてですが、自己資本と比べてあまりに大きな借入がある場合、国によっては支払利息の一部について損金算入が認められない場合があります。
過少資本税制と呼ばれるものですが、日本にもこのルールはありまして、外国親会社から借り入れがある場合、原則として自己資本の3倍を超える部分に対応する支払利息は損金に算入できません。
この理由ですが、例えば、
資本金=1億円
借入金=10億円
のような形で会社を作り、この借入金から3000万円とか5000万円の利息を払い、それが損金に算入できるとなると日本の税収が少なくなるからです。
配当金で支払う場合は損金にならないので、それとの整合性を保つという意味もあります。この過少資本税制が海外子会社がある国にあるかどうかも確認しておく必要があるでしょう。
債務免除とデット・エクイティ・スワップ
子会社の自己資本を増強するための方法として、債務免除とデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)が考えられます。
債務免除とは
債務免除とは親会社からの借入金を棒引きしてもらうということで、親会社からみると債権放棄になります。
子会社側では債務免除益が計上されますので、過去の累積損失を一掃し再スタートを切る時に有効です。ですが、親会社から借り入れを受けてすぐに債務免除を受けた場合などは、マネーロンダリングを疑われる可能性もありますので、現地の法律家や会計事務所としっかり相談することが必要です。
一方、親会社側では子会社貸付金の貸し倒れ処理を行います。この貸倒損失を損金に落とすことは基本的には難しいとお考え下さい。
損金に計上できるのは子会社が危機的状況にあり、かつ、債権放棄をしないと親会社側でもさらに大きな損失が発生することが証明できる場合に限られます。
デット・エクイティ・スワップとは
もう一つのデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)は親会社からの借入を資本金に振り替えることです。子会社側かる見ると増資、親会社側から見ると子会社貸付金の現物出資になります。
デット・エクイティ・スワップを行うことにより、(子会社の)負債が減り資本が増えますので債務超過を解消したい場合などは検討する価値があると思います。
デット・エクイティ・スワップができるかどうか、またどのような手続きが必要なのかは、各国の会社法の規定によりますので、これも現地の法律家や会計事務所に相談すべき事項です。
子会社を再建する時の手段のひとつとして、このような手法があることも押さえておきましょう。
関連記事:子会社への債権放棄を損金算入すると、寄付金認定を受ける可能性大
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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