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支店PE(恒久的施設)の定義の改正(平成30年度税制改正) | 押方移転価格会計事務所
- 2020.04.08
- 国際税務
遅まきながら、平成30年度の税制改正について書いてみようと思います。
国際税務について調べていると、「PEなければ課税なし」という言葉を聞くと思います。PEとは事業活動を行う一定の場所のことであり、日本語では恒久的施設と呼ばれています。
その国にPEがないということは、その国における事業はまだ試行的段階なので、法人税を課すことはやめておこうという考えです。(ちなみにこれは事業所得についてのルールですので、利子や配当、ロイヤリティについてはPEがなくても課税(源泉徴収)されます。)
この「PEなければ課税なし」というルールを逆手にとって、不当にPE認定を回避する行為が問題と言われていました。
そこで平成30年度の税制改正において、PE認定回避を防止するための手当てがおこなわれました。
今回はPEのひとつである「支店PE」の改正について取り上げます。(PEには他に、「建設PE」と「代理人PE」があります。)
補助的機能でない場合は支店PEに該当と明記
保管・展示・引き渡しなどの準備的・補助的活動のために使用する場所について、その活動が事業にとって準備的・補助的な機能でない場合は支店PEに該当するとされました。
逆に言えば東京ビッグサイトのような展示会場を借りた程度では準備的・補助的な機能しか果たしていないので、その展示会場は支店PEに該当しないということです。この解釈は改正以前も同様でしたが、定義が明確化されました。
またその場所では補助的な活動のみを行っているようにみえても、他の場所での活動と組み合わせた活動全体が事業にとって補助的・準備的とはいえない場合は支店PEに該当することとされました。
その国で事業を開始するための準備として、倉庫などを借りた程度であれば課税する必要はないが、アマゾンが保有する最新の巨大物流倉庫のように事業の中核を担うような施設であればPEとして課税すべきという判断です。
この改正は平成31年1月1日以降開始事業年度より適用となっています。(但し、これは日本の国内法の話ですので、正確には租税条約の確認が必要です。)
不当なPE認定回避の防止は世界的トレンド
この改正は外国企業が日本に進出する場合の話ですが、倉庫も一定の要件を満たせばPEと判定すべきという考えはもともとはOECDで議論されたものです。
支店PEの定義の改正は作為的なPE認定回避を防止しようという世界的トレンドから生じた現象のひとつに過ぎません。
PE認定を受けるリスクが世界的に高まりつつあるかもしれませんので、海外の駐在員事務所でこっそり営業活動を行っている方などは、現地の会計事務所に最新情報を確認してみてはいかがでしょうか。
関連記事:デジタル課税は「PEなければ課税なし」の大原則に風穴を開ける
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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