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タックスヘイブン対策税制の改正で事務負担が増加? | 押方移転価格会計事務所

海外子会社 寄付金 原因

海外子会社が受け取った利息や配当、ロイヤリティーを全て合算?

先日の新聞記事にタックスヘイブン税制の改正案が掲載されていました。

国ごとの税率差を利用した税逃れを防止するため、海外子会社の事業所得以外の収入、つまり利子や配当、ロイヤリティーについては、原則として親会社の所得と合算する方向で調整が進められているようです。

現在のルールでは税負担率(≒法人税率)が20%未満の海外子会社はタックスヘイブン税制の適用対象にはなりませんが、この改正案では日本より税率の低い国にある全ての海外子会社の利息や配当収入が合算対象になるとのことです。

趣旨としては、「海外子会社が自ら汗を流して稼いだ所得は現地国で法人税を納めていればそれでいいが、特許権や株式、貸付金などは保有する会社を比較的自由にコントロールできるため、税率が低い国にある子会社に保有させることによる不当な(?)課税逃れを防止する」ということだと思います。

パナマ文書が注目を集めたことも影響し、タックスヘイブン対策税制のルールの厳格化が行われているのでしょうね。

情報を吸い上げる日本本社の事務負担増大が懸念

この記事を見た時、「これは企業の事務負担が大変になる」と思いました。

日本より税率の低い国にある全ての海外子会社の利子、配当収入等を捕捉しなければならないからです。正確かつ網羅的にこれらの情報を集めるのは大変です。これまでは連結決算用に決算書と科目明細ぐらいは入手していたかもしれませんが、今後は確定申告書の中身まで把握しなければならなくなるかもしれません。

「配当金の益金不算入額がいくらか?」や、「ロイヤリティーの未収計上はしているのか?」など、まともにやろうとすれば事務負担は相当な工数になりそうです。現地の会計事務所との連携も必要になってくるでしょう。

また子会社の保有株式の移動やロイヤリティー契約の変更などを日々追いかけていかなければならないのも大変です。大企業の場合は、システムパワーで何とかなるかもしれませんが、中堅企業の子会社の場合は「会計ソフト以外はExcel管理」というケースも多いので、親会社への月次報告フォーマットにタックスヘイブン関係の情報を追加するなどの処置が必要かもしれません。

かなり大きな改正になると思いますので、適用開始まで数年はかかると思いますが、できるだけ簡素な形で適用できるようにして欲しいです。

移転価格対策も文書完成後の運用負担を最小限にするよう心掛けていますが、こっち(タックスヘイブン)で過大な事務負担が生じるのはご容赦願いたいです。

関連記事:タックスヘイブン税制の適用除外要件は管理支配基準がポイント

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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