1. HOME
  2. 移転価格お役立ち情報
  3. 国際税務
  4. 海外赴任開始年は出国前に年末調整を行う | 押方移転価格会計事務所

押方移転価格会計事務所の移転価格お役立ち情報

海外赴任開始年は出国前に年末調整を行う | 押方移転価格会計事務所

海外赴任 年末調整

1年以上の予定で日本を離れる場合、出国日の翌日から日本の非居住者となる

海外子会社への出向など海外勤務が決まった場合、赴任前と赴任後の給与と賞与について、正しい手続きでそれぞれの国に納税しなければなりません。

日本で年末調整をしている人(=確定申告をしていない人)の場合は、

①海外赴任前の給与・賞与→出国日までに日本で年末調整を済ませておく

②海外赴任後、最初にもらう給与・賞与→非居住者となった後に支給される給与と賞与から源泉徴収は必要か?参照

③それ以降にもらう給与・賞与→日本の国内源泉所得に該当する部分があれば、20.42%の源泉徴収を行う。(国外源泉所得は日本の所得税の課税対象外)

となります。

①の年末調整(年末ではなくても「年末調整」といいます)について説明します。

収入に関しては出国日までに支給された給与・賞与の金額を使用します。 出国後に支給される給与・賞与は、源泉徴収で課税関係が完結(源泉分離課税)しますので年末調整の対象とはなりません。

次に所得控除についてですが、扶養控除や配偶者控除は丸1年分を控除することができます。
一方、社会保険料控除や生命保険料控除は出国日までに支払った分だけが控除対象となります。

これらの計算の結果、例年の年末調整と同じく、通常はいくらかのお金が返ってくることになります。

納税管理人を選定しておこう

上記のように海外赴任が決まった場合は年末調整を行うことになるのですが、医療費控除を受けたい場合や、住んでいた家を賃貸に出して不動産所得がある場合などは、確定申告を行なう必要が出てきます。

ですが海外に身を置いている人が税務署まで確定申告に行くのは手間もコストもかかります。

そのような場合は出国日までに納税管理人を選定しておきましょう。 納税管理人とは、本人の代理で確定申告等を行うことができる人のことで、税務署に「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を提出することにより選定できます。

納税管理人には、法人でも個人でもなることができますので、会社になってもらってもいいですし、家族になってもらっても構いません。

ちなみに給与所得が2000万円以上の人や、不動産所得があって元々確定申告をしていた人は、納税管理人の選定をしていなければ出国日までに確定申告を済ませる必要がありますが、納税管理人を選定しておけば、出国した日の翌年の2月16日~3月15日に確定申告をすればいいことになっています。

給与格差補てん金は、日本の国外源泉所得

海外赴任後、給料の全額を海外子会社に負担させることができず、一部を給与格差補てんとして日本本社から支給しているケースも多いですが、この格差補てん金は現地の源泉所得ですので、日本において源泉徴収をする必要はありません。

現地で受け取っている給料と合算して現地国において申告する必要があるのですが、していないケースが多いです。誰もが知るような大企業でもしていないケースがあります。

国家間の税金に関する情報交換の環境も整ってきていますので、この点に関しては正直に申告しておく方がいいと思います。

海外の税務当局から、「我が国で働いているA氏の申告所得額は500万円(相当額)だが、そんなものではないはずだ」と日本の当局を通じて照会をしてくるケースも今後は出てくるかもしれません。そして実際の所得総額が1000万円だと判明すれば、A氏個人が500万円の所得隠しをしていたことになり、国よってはお金で済まない話になるかもしれません。

少し話が重くなってしまいましたが、出向者が海外で正しく納税しているかどうかをチェックできる体制ができていれば理想的だと思います。

関連記事:海外子会社の給与規定を整備することは重要

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

「移転価格対応に失敗したくない人が最初に読む本」
個別相談付き移転価格入門セミナー
【記事数300以上】移転価格お役立ち情報一覧
移転価格文書化コンサル専門-押方移転価格会計事務所TOP

個別相談付き移転価格セミナー セミナー情報はこちら

あわせて読みたい記事

  • お電話でのお問い合わせ

    移転・海外寄付金のことご相談下さい TEL:06-6484-6280受付時間/9:00~17:00

  • メールでのお問い合わせ

    お問い合わせ