- HOME
- 移転価格お役立ち情報
- ピックアップ記事,移転価格全般
- 親子間取引の商流変更時に考えること | 押方移転価格会計事務所
押方移転価格会計事務所の移転価格お役立ち情報
親子間取引の商流変更時に考えること | 押方移転価格会計事務所
親子間取引の商流は不変ではなく、意外にころころ変わるものです。
A子会社からB子会社に直接売っていたものが、A子会社→日本本社→B子会社という三国間貿易に変わったり、反対に三国間貿易を止めて直接取引になったりします。
日本本社→A子会社→B子会社だった商流が、日本本社からB子会社に直接販売になることもあります。日本本社から現地顧客に直接販売していたものが、現地に子会社を設立すれば子会社経由になるでしょう。
なぜ商流を変更するのか
商流変更の結果、日本本社(あるいは海外子会社)の所得が減るのであれば、税務当局から寄附(経済的利益の無償供与)や所得移転を指摘される可能性は当然あります。
ですので金額的重要性があればあるほど慎重に検討しなければなりませんが、まずは商流を変更する理由をはっきりさせておきましょう。
「利益を失うことになってもこの商流から抜ける」といった経営判断は独立事業者同士の取引でもあります。利益が減るからといって、必ずしも所得移転や利益供与(寄附)があるとは限りません。
ただ調査官は疑ってきますので、口頭であれこれ説明するよりは、検討会議の議事録などを提示して経済合理性のある判断だと説明できるようにしておきましょう。
一方、総合的に考えて海外子会社への利益供与と判断される場合は、ロイヤリティや販売手数料など適切な形で補償する必要があります。
商流変更によって「子会社にビジネスをあげる」のであれば、それは一種の事業譲渡であり、対価性があるからです。
商流変更前後の機能・リスク・資産を整理
商流を変更すれば売上や粗利益だけでなく、各社の機能・リスク・資産にも変化が生じます。
例えば海外子会社が在庫を抱えて販売していたのを日本本社が現地ユーザーに直接販売し、海外子会社は日本本社の営業代行を行うことになるのであれば、海外子会社は信用リスクを負わなくなります。
このような商流変更によるビフォーアフターをていねいに整理した上で、「商流変更後の数年間は売上の一定割合を販売手数料として受け取る」など、適切な対価の収受を行いましょう。
急激な利益の減少はどうしても目につきますので、数年かけてソフトランディングする方が無難と思います。
商流変更から生じる利益やコストの増減を捕捉した上で、双方ともにメリットがある水準に着地することができれば理想的です。
ローカルファイル、マスターファイルの記載を確認
商流が変更すれば必然的にローカルファイルの記載も見直すことになります。独立企業間価格算定方法が変更になることもあるでしょう。
またマスターファイルには重要な事業譲渡を記載しますので、単なる商流変更というレベルではなく、重要な事業譲渡といえる場合はマスターファイルの記載も検討が必要です。
私は決算が終わってから外部業者にローカルファイルの作成を外注するのではなく、自社で作成することを推奨していますが、商流変更時のタイムリーな対応のためにも社内に移転価格税制に関する知見を蓄積しておくことは重要だと思います。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
「移転価格対応に失敗したくない人が最初に読む本」
個別相談付き移転価格入門セミナー
【記事数300以上】移転価格お役立ち情報一覧
移転価格文書化コンサル専門-押方移転価格会計事務所TOP
あわせて読みたい記事
-
お電話でのお問い合わせ
受付時間/9:00~17:00
-
メールでのお問い合わせ
お問い合わせ