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契約書関係の整備も移転価格対応の一環 | 押方移転価格会計事務所
移転価格税制への対応というと、ローカルファイルの作成に目が行きがちです。ですが、ローカルファイルの作成は移転価格対応の一部に過ぎません。
海外子会社と新しい取引が始まる場合や商流の変更が起きた場合の取引価格の設定、利益率レンジから外れそうな場合の価格改定なども移転価格対応に含まれます。
親子間取引にかかる契約書の整備も必要
また親子間取引に係る契約書を整備することも移転価格対応の一環です。
海外子会社から金利やロイヤリティを受け取る場合は、契約書が必要です。契約書がなければ対価性が証明できず、支払った側で損金にならない可能性があります。
契約書があってもその内容を遵守していなければ、子会社に対する利益供与と認定される可能性があります。契約書に売上の3%のロイヤリティを受け取ると記載しているにもかかわらず受け取っていなければ、贈与の意思があるとして寄付金認定を受ける可能性が高いです。
棚卸資産取引において、利益率レンジから外れた場合に価格調整金の授受を行う場合がありますが、これについても事前の契約書(覚書)の締結が必要です。
あるいは、例えば海外子会社との製造委託契約書に在庫リスクは日本本社が負う旨の記載を加えることによって、海外子会社の在庫廃棄損相当額を日本本社が負担した場合に、海外子会社への寄附と指摘されにくくするといった契約書の活用方法もあります。
契約書があればOKということでもない
では契約書に書いていれば何でもOKかというと、そんなことはありません。税法は実質主義ですので、契約書があっても対価性のない取引についての損金算入は認められません。
例えば「市場調査費用として海外子会社に毎月500万円支払う」という契約書があったとしても、親会社がそれに見合ったサービスを受けていないのであれば、子会社への利益供与と認定される可能性が高いです。
契約書がなければ認められないものもあれば、契約があっても認められないものもあるということです。
一度、親子間取引に関する契約書関係の棚卸をしてみてはいかがでしょうか。
関連記事:「親子間取引に関する契約書がなければ活動実態の説明が難しくなる」
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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