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製造業の原価低減活動は独自の機能といえるのか | 押方移転価格会計事務所
移転価格税制においては親会社と海外子会社それぞれが果たしている機能と負担しているリスクを分析することが重要だとされています。
機能とリスクが同じような企業(=比較対象企業)よりも海外子会社の利益水準が大幅に高いのであれば、「機能とリスクに見合わない利益を計上している」⇒「親会社からの利益移転が疑われる」という話になるからです。
そのためローカルファイルには機能とリスクを分析したパートが必ずあるのですが、今回は製造子会社が行っている原価低減活動が超過収益を生み出すような「独自の機能」といえるのか、それともノーマルな製造活動の範疇なのかを考えてみようと思います。
独自の機能があればどうなる
独自の機能という言葉に正確な定義はありませんが、高度な研究開発活動やマーケティング活動など、平均以上の利益を上げるための活動全般のことと考えて下さい。
海外子会社が独自の機能を果たしている場合、その海外子会社は「並の企業ではない」ということになりますので、企業データベースから比較対象となる企業を見つけることが難しくなります。
そのため海外子会社を検証対象とする方法(取引単位営業利益法など)の適用が難しくなりますので、利益分割法など他の方法を検討しなければなりません。
原価低減活動にも程度がある
話を戻して製造子会社の原価低減活動が独自の機能といえるかどうかですが、一般的には独自の機能とはいえないでしょう。
合い見積もりを取って原材料の仕入れコストを下げる、機械の使い方を変えて歩留まり率を上げる、パート社員を活用して人件費を下げるといった原価低減活動はどこの会社もしていることですので、それだけでは独自の機能とはいえません。
ですが新素材を使って材料費を劇的に下げる、IoTを駆使して製造ラインを無人化するといった研究開発といえるレベルのことまでしているのであれば、これは独自の機能といえるでしょう。
原価低減活動にも程度があるということです。
原価低減活動だけでなく、研究開発活動、マーケティング活動などにも程度があります。
日系企業の海外子会社の多くはそこまで高度な機能は果たしていないと思いますが、元々別会社だったものを買収した場合など、海外子会社に独自の機能があるといえるケースもあります。
原価低減、研究開発、マーケティングという表面上の言葉だけで判断するのではなく、実際の活動の中身を確認し、独自の機能を持つといえるレベルなのかどうかを考えることが大事だと思います。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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