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「移転価格上の問題あり」とする勇気が必要 | 押方移転価格会計事務所
明らかに移転価格上の問題があるにも関わらず、強引に「移転価格上の問題なし」と説明しているローカルファイルを見かけることがあります。
例えば次のような感じです。
・海外子会社の実際の営業利益率が赤字であるため、赤字の比較対象企業を多く選んできて、四分位レンジを△5%~9%とし、レンジ内に入っていると無理やり説明している
・直近数年間の海外子会社の営業利益率が高すぎるため、10年以上の平均利益率を使用している
・寄与度利益分割法を採用し、説明がつく分割ファクターを強引に適用している
どれも相当無理のある説明です。ローカルファイルを作成したコンサルタントも、それは重々承知していたはずです。
ですが決算が終わった後になってからコンサルタントに依頼し、移転価格上の問題がないという結論ありきで作成するため、このような苦しい説明をせざるを得ないのです。
またコンサルタントサイドは依頼を受けた年度のローカルファイルを作ればいいので、次年度のことを考える必要がないという事情もあります。
問題がある時はある
ですが当然のことですが、移転価格上の問題がある時はあるのです。
その事実を曲げて、強引な説明をしたローカルファイルを作成することが会社にとって本当にプラスでしょうか。
移転価格上の問題なしという報告を受けた社長は、「問題なかったんだな。わかった。」と言うでしょうから、取引条件の見直しが行われることもないでしょう。
移転価格上の問題がある場合は、実際の取引の見直しを行う仕組みが入ってこその移転価格対応です。
関係者からの反発を買うこともありますので、エクセル上で「数字あそび」をするよりもはるかに難易度は高いですが、そこに仕事があります。
その年だけ誤魔化しても意味がない
海外子会社との取引条件を変更する仕組みがなければ次年度以降も同じ問題を抱えることになります。正直に「移転価格上の問題あり」として、全社的に対処方法を検討することが重要です。
社内ではそのように検討を進めておき、国税に提出する時の文言はその時の状況に応じて考えればいいのです。
大事なことは移転価格について社内のしかるべき人達で議論しておくことです。
社内で議論した結果、移転価格リスクがあってもそのままいくというのであれば、それもひとつの判断です。
議論することもなく、強引な説明をしたローカルファイルだけが残っても、その年限りの場当たり的な対応で終わってしまいます。
移転価格税制に継続的に対応するために、移転価格上の問題ありと騒ぎ立てる勇気を持ちましょう。
関連記事:「社内向けにローカルファイルを作るのもひとつの案」
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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