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新興国の方が移転価格調査についての経験が豊富になってきている | 押方移転価格会計事務所

移転価格 新興国

BEPS最終報告書を受けて、各国でローカルファイルやマスターファイルの作成義務基準が設けられました。

日本でも同時文書化義務基準は設けられましたが、親子間貿易50億円以上という大きな金額に設定されています。

税務調査においてもローカルファイルを提出させて棚卸資産取引について突っ込んだ調査をするよりも、簡易な移転価格項目といわれる親子ローンの金利や出張支援費などの寄付金項目を重点的に調査することが多いです。

調査期間は限られていますので、海外寄付金や他の項目などでサクッと指摘できるのであれば、わざわざローカルファイルを提出させる必要はないということです。

新興国は「ローカルファイル慣れ」してきている

一方、インドネシアやベトナムでは売上数億円の中小企業にもローカルファイル(とマスターファイル)の作成が義務化されました。

導入当初はバタバタしましたが、少し時間が経って現地企業も現地の調査官もローカルファイルに慣れてきている気がします。

「ローカルファイルがあるのが普通」という状況になりましたので、これは当然だと思います。

「APAの締結件数」「移転価格課税による追徴税額」というような公表数値をみると先進国の方が進んでいるようにみえますが、一般的な企業の現場レベル、実務レベルにおいては新興国の調査官の方が日本の調査官よりも経験が豊富になってきていると思います。

例えばインドネシアでは法人税の還付申請を行うと税務調査が入り、そのタイミングで移転価格についても調査をします。

そして還付をせずに済むような比較対象企業を「うまく」選んでくるというテクニックも使ってくるようです。

タイでもこれから移転価格税制が本格導入されますので、数年後にはタイも同じような状況になるかもしれません。

海外子会社にアドバイスができるか

このように日本本社よりも海外子会社において移転価格税制についての知見が必要なケースが増えています。

ですが、これを海外子会社任せにしてもいいのでしょうか。

義務ですから、現地の会計事務所にローカルファイルを作ってもらうのはいいとして、日本本社がその中身を確認しなくていいでしょうか。

海外子会社に赴任しているのは管理部門ではなく、営業や生産部門の人が多いはずですし、数年後には帰国するはずです。

押方の本「移転価格対応に失敗したくない人が最初に読む本」にも書きましたが、移転価格対応を子会社に丸投げすることは難しいです。

やはり日本本社が各国子会社と連携をとって、必要に応じて現地アドバイザーの手を借りながら各国の移転価格対応を行うしかないでしょう。

コンサル任せではなく、子会社任せでもなく、日本本社の率先垂範が求められます。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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