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2022年、2023年の為替レートの変動は特殊要因といえるか | 押方移転価格会計事務所
移転価格分析においては、特殊要因調整を行うことがあります。
親子間取引の移転価格ポリシーとして、海外子会社の営業利益率や売上高総利益率を一定レンジ内に収めるようにしている企業は多いと思います。
レンジ内に収めるための取り組みを普段から行っているものの、突発的な要因によって止むを得ずレンジ内に入らなかった場合、その影響を除外して分析することを特殊要因調整と言います。
要するに「レンジ内に収まらなかったのは特殊要因のせいであって、所得移転が起きた訳ではない」という税務当局への抗弁です。
主要取引先からの発注量の減少、感染症等による操業停止、特定製品の特需など特殊要因となり得るイベントにはいろいろあります。
そして為替レートの急激な変動も特殊要因となり得るイベントのひとつではあります。
調査官は安易な特殊要因調整を認めない
ただこの特殊要因調整は濫用というか拡大解釈が目立つ項目でもあります。
普段は子会社の利益率を意識しておらず、期末を過ぎてから形式的にローカルファイルを外部専門家に作ってもらう場合に起こりがちです。
外部専門家も過去は変えられませんので、特定製品の特需があったとか、為替レートの変動が異常だったなどといって何とかレンジ内に収めようとするのです。
本当に特殊だったのかどうかは実態判断になりますが、調査官はそのような安易な特殊要因調整を認めない可能性が高いです。
最近はローカルファイルを作っている企業も多いですから、ローカルファイルを作っていなくて課税されるケースより、ローカルファイルを作っていたが特殊要因調整部分が認められなかったケースの方が多いのではないでしょうか。
普段から利益率のモニタリングを行っているか
ローカルファイルに、「海外子会社の方が果たしている機能は単純で負っているリスクも小さいので、海外子会社サイドの利益率を一定レンジ内に保つようにする」と記載している企業は多いはずです。
そうであれば為替リスクを日本本社が負うなど、海外子会社の利益率をコントロールする仕組みを入れておくべきです。海外子会社が為替リスクを負うとしても、例えば過去3ヶ月の為替レートの平均値を用いるなどの対策は可能なはずです。
つまり移転価格ポリシーが名目ではなく、実態を伴ったものになっているかどうかが重要ということです。
2022年、日本政府はドル円調整のための為替介入を行いましたし、2023年も同レベルの為替変動が起きています。
一定の対策はしていたがレート変動が急過ぎてレンジ内に収まらなかったのであれば、その部分は特殊要因として主張すればいいと思います。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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