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日本サイドの利益率は無視していいのか | 押方移転価格会計事務所
片側検証の取引単位営業利益法、両側検証の利益分割法と言われます。
利益分割法が親会社と子会社の両方の利益水準と利益配分を検証するのに対し、取引単位営業利益法は親会社と子会社のどちらか一方だけの利益水準を検証するという意味です。
どちらを検証対象とするかというと、親会社よりも相対的に機能とリスクが限定的で、無形資産を持っていないことが多い海外子会社サイドを検証することが大半です。
親会社よりも海外子会社の方がオーソドックスな企業なので、比較対象となる法人を見つけやすいと考えるからです。
日本サイドが儲かっているかどうかで印象はまるで違う
海外子会社サイドの片側検証をする場合、日本本社の利益水準についてはローカルファイル上に表れてきません。
だからといって、海外子会社の営業利益率がALPレンジ(独立企業間価格レンジ)内に入ってさえいれば日本サイドの営業利益率はどうでもいいのかというと、それは極端というものです。
「課税リスクが高いかどうかの判断基準」にも記載していますが、「海外子会社の利益水準が高いかどうか」という点だけでなく、「日本本社の利益水準が低い、あるいは赤字になっていないか」という点も、調査官が所得移転の蓋然性(可能性)を検討する際のチェックポイントになっています。
たとえば海外子会社の営業利益率が7%でALPレンジ内であったとしても、日本本社の営業利益率が15%の場合と、赤字の場合では印象が全く異なります。
日本側でも十分に利益が出ているのであれば、日本から海外への所得移転はなさそうにみえますが、日本が赤字にも関わらず海外で7%も利益が出ているのであれば、調査官が所得移転を疑うのは当然です。
ローカルファイルを作っていたとしても簡単には認めてもらえず追加説明が必要になってくるでしょう。
そして赤字になった原因に子会社を特別優遇した部分が含まれているということがわかれば、その部分を所得移転または寄附金と認定するはずです。
利益水準に加えて利益配分の検証を
「片側検証の取引単位営業利益法」は様々な検証の結果、ローカルファイルに清書する際にそのような整理にしたに過ぎません。
表面上は海外子会社の営業利益率がALPレンジ内に入っていればOKという形になっていますが、日本サイドを無視していいことにはなりません。
別の言い方をすれば利益水準だけでなくお互いの利益配分についても検証しておく必要があるということです。
「こうであればOK」「こうであればNG」という「パターン」や「フローチャート方式」で機械的に対処したくなる気持ちはわかりますが、取引価格が妥当といえるかどうかは事実認定の世界ですので、個々の判断基準をいくつか持ちながらも最終的には総合判断によって所得移転や寄附がないと主張できるように備えておくことが大事です。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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