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取引価格変更にまで踏み込むことが重要 | 押方移転価格会計事務所
移転価格対応には中長期的な視野が必要です。
短期的な特殊要因があったとして移転価格分析上は除外したり、かなり強引な独立企業間価格算定方法を採用することにより、「移転価格上の問題はない」と説明しているローカルファイルをみかけることがあります。
「移転価格上の問題なし」という結論ありきでローカルファイルを作るとそうならざるを得ない面もありますが、実際の取引に踏み込むことなく、ペーパー上だけで解決しようとしても限界があります。
移転価格税制という法律がある以上、グループ間取引の価格を自由に決めることはできません。実際の取引価格を移転価格上の問題がないといえる範囲に是正していくことも必要です。
取引価格の変更は各人の利害がからむ
確かに取引価格を実際に変更する、あるいは価格変更のルールを作ることには多大な労力がかかります。
営業部門、製造部門、子会社側の責任者など、各人が数字責任を負っているため、「グループ全体としてはプラスであるとしても、自分にとってはマイナス」ということが起きるからです。
多くのコンサルタントが取引価格の変更にまで踏み込めない理由がここにあります。要は社内調整ができないのです。海外子会社の決算書を分析して、「これは特殊要因ということにして移転価格分析上は除外しよう」とペーパー上だけで処理する方がはるかに楽です。
ローカルファイルの作成契約が「2017年3月期のローカルファイル」と、期間が区切られていることも影響しています。コンサルタントの立場としては、とにかく2017年3月期の説明がつけばいい、2018年以降のことは依頼があった時に考えよう、という思考になってしまうのです。
社内調整に踏み込まないとどうなるか
ですがペーパー上だけの対応に終始し、社内関係者の理解を得る努力をしなかった場合、翌年度以降も同じ問題を繰り返すことになります。
ビジネスがどう動くかはわかりませんので、「2018年は子会社の利益率が下がって勝手にALPレンジ内に入った」ということは確かにあり得ます。ですがそれは結果論であって、移転価格税制に対する社内理解が進んだ訳ではありません。じゃあ2019年はどうなるのかという話です。
そのような考えから当事務所のコンサルティングでは、社内研修会を開催したり、営業会議の議題にあげてもらうなど、関係者を極力巻き込むようにしています。それぞれの利害がありますので反発を受けることもありますが、むしろ健全なことだと思います。
たとえ労力と時間がかかっても、移転価格税制に適切に対応していける社内体制を構築することが重要です。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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