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移転価格税制における文書化制度とは | 押方移転価格会計事務所
移転価格税制とは、海外の関連企業(国外関連者)との取引が独立企業間価格で行われなかったことによって課税所得が少なくなった場合に適用される税制です。
移転価格税制が適用されると、独立企業間価格で取引したと仮定した場合の課税所得を再計算して追徴課税が行われます。
詳しくは、「これだけは知っておこう!」移転価格の基礎講座」をご確認下さい。
国税庁及び経済産業省が公表しているこちらの資料もご確認下さい。
「移転価格税制に係る文書化制度に関する改正のあらまし」
「移転価格税制に係る文書化制度(FAQ)」
「ローカルファイルはじめてガイド」
「移転価格ガイドブック」
移転価格税制に係る文書化制度
国外関連者との取引が独立企業間価格で行われたかどうかを税務当局に説明する際には、移転価格文書(ローカルファイル)という文書を提出します。
ローカルファイルに記載する内容については、「ローカルファイル(移転価格文書)の記載項目」をご確認下さい。
ローカルファイルを期日までに提出できなかった場合、調査官は独自に独立企業間価格を推定して追徴課税を行うことができます。これを推定課税といいます。
同時文書化義務とは
ローカルファイルは調査官からの要請に応じる形で提出するものですが、国外関連者との取引額が一定額以上の場合は、調査官からの要請がなくても確定申告期限までにローカルファイルを作成しておく必要があります。
これを同時文書化義務といいます。(「移転価格文書の同時文書化義務が免除でも「文書化」は必要」参照)
対象は特定の国外関連者との棚卸資産取引が年間50億円以上、または無形資産取引が年間3億円以上の場合です。(いずれも受け払い合計)
該当する場合は申告期限までに作成しておき、提出を求められた際は45日以内の指定された日までに提出しなければなりません。
同時文書化義務が免除でも、ローカルファイルの作成は必要
注意すべき点は、上記の金額基準は同時文書化義務の基準であり、移転価格税制の適用免除点ではないということです。
金額基準未満の場合、確定申告期限を守る必要はありませんが、税務調査時に提出を求められた場合は60日以内に提出しなければなりません。
そして提出できなかった場合は、上述の推定課税の適用を免れることができません。
つまり国外関連者との取引額について、移転価格税制上の免税点はないということです。
実際に調査に入るかどうかは税務当局が費用対効果を考えて決めるものですが、最近は移転価格調査も小型化していますので、数千万円の追徴ができると判断すれば移転価格調査が入る可能性は十分あります。
移転価格課税を行う場合、最長7年間さかのぼって追徴することができますので、1年間の取引規模がそれほど大きくなくても注意は必要といえます。
文書化における注意点
移転価格税制の適用による追徴課税を回避するためにはローカルファイルの作成が必要ですが、ローカルファイルは単に作成すればいいというものではありません。
税務当局がローカルファイルの内容を適切と認めなければ、結局、追徴課税を受けることになります。
国外関連者(または日本本社)の損益に特殊な要因があり、それがなければ移転価格税制上の問題はなかったと結論付けているローカルファイルが散見されますが、それを税務当局が適切な分析と認めないケースが多くあります。
文書作成上のテクニックに依存するのではなく、実際の親子間取引を移転価格税制上の問題がない価格で行うことが正しい移転価格対応です。
移転価格対応は第一義的には取引価格の問題であり、文書作成は二次的なものに過ぎないということです。
このことを理解していないと外部専門家にローカルファイルの作成を依頼しただけで安心してしまい、予期せぬ追徴課税を受けることになりかねません。
ローカルファイルの作成を外注することには問題点が多いため、当事務所では移転価格税制に自力で対応できる社内体制作りをご支援しています。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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